部屋の扉を内側から開けたのは私を攫った兄弟。
兄はニヤリと厭な笑みを浮かべ、弟もまた無邪気な笑みを見せる。
そして――――
「ッ……!」
扉の先の部屋に大きく息を飲む。
私が拘束されていた部屋もそれなりの調度品が揃えられていて王宮らしい気品があったけど、この部屋は比べようもなかった。
大理石の床は天井のシャンデリアを映すほどに艶やかで。
高い天井には大聖堂を思わせる様なステンドグラス。
王族の権力の全てがそこにあった。
そして、部屋の中心―――
金の装飾がされた紅い椅子に足を組んで座る男がいた。
長い黒髪を束ね、口元に笑みを浮かべるその男はとても端麗な顔立ちの男だった。
肘をついてこちらを見下ろす視線と交差したと思えば、男がフッと笑う。
「お前が異端の能力者か」
頭のてっぺんからつま先まで、舐める様な視線が這う。
「貴方がギルティスの王ですか?」
「あぁ、そうだ」
男…否、ギルティスの王“ザイード”から一瞬表情が消えたものの、何事もなかったように答える。
「名をエレナと言ったな。お前は何のためにこの国へ連れてこられたか分かっているか?」
自分で言ってみろと言わんばかりの言葉に眉を顰める。

