「見えたのさ、その黒い布から零れた髪が」
ジェスの言葉にピクっと反応する。
「その髪の色は……白銀だった」
「「ッ……!」」
息を飲むウィルとデューク。
ジェスの言葉が指す意味はもう分かったはずだ。
「それは確かですか?」
半ば疑いを持ったウィルが問えば、ジェスは頷く。
「覆った布が黒だったから白銀の髪は目立った。この国にそんな髪色を持つのは一人だけだろう?」
茶かすでもなく、騙そうとしているわけでもないその真剣な面持ちに言葉を失うウィルとデューク。
やはり…エレナはギルティスに攫われた。
それはジェスの話で確信に変わった。
「本当にエレナさんはギルティスに…」
エレナがギルティスに攫われたことを疑っていたウィルも信じざるを得なかった。
「エレナが連れ去られるのを見たのはいつ頃だ」
「一時間ほど前だったな」
デュークの問いに頭を捻りながら答えるジェス。
「一時間前に攫われたとしたら、もうエレナはギルティスの領土に入っている」
その場に緊張が走る。
「それは厄介ですね」
ウィルの言う通り、事態は非常に厄介なことになった。

