デュークに引き止められ足止めをくらっていると…
「シルバ!」
馬に乗って駆けてきたのはウィルと城に常駐している兵士たち。
もう追いついたのか…ウィルにしては早いな。
恐らく伝令でエレナがギルティスに攫われたことを聞いて焦って追いかけてきたのだろう。
「ウィル、早かったな」
デュークも驚いた様子。
「早かったなじゃないですよ全く…僕一人に押し付けるだけ押し付けて出て行くなんていつもの事ですけど、まとまった兵くらい連れて行ってください」
怒りを通り越して呆れるウィルは溜息をつきながらデュークと同じことを言う。
横でほら見ろとばかりにククッと笑うデュークに睨みを利かせながら口を開く。
「城の方はどうなった」
「とりあえず禊の場の片づけを行い、その場にいた者たちにこのことについては他言無用だと言いつけました。婚儀に来ていた客人にはエレナ様の体調不良で延期になったことを伝えています」
小言を無視した俺にウィルはムッと顔をしかめるものの、不服そうに答えた。
「さすがはこの国の宰相殿だな。きっとそのえげつない笑顔で騙してきたんだろ」
デュークの冗談にギロッと目を細くするウィルの目は据わっていた。
これには旧知の仲のデュークも乾いた笑みを浮かべ、早々に話題を変えた。
「そ、それよりも、お前よく出て来たな。宰相は城にいるものだと言うのはお前の口癖だったじゃないか」
苦し紛れに変えた話題は成功だったようで、ウィルはその言葉にピクリと反応した。
それもそのはず。
ウィルはこの国の宰相であり、国の政の補佐をする身。
前線には出てこず、城を守ることこそがウィルの役目だった。

