白銀の女神 紅の王Ⅱ




何だあれは……


石に隠れたそれを覗きこめば、そこには柄が折れた矢が石の間に挟まっていた。

光っていたのは矢じりが太陽の光を反射したためだろう。

これは、エレナを攫って行った者たちが使っていた矢だろうか。



そう思いながら、拾い上げ、その矢を目にした瞬間目を見開いた。

そして、フッと冷酷な笑みを零す。




「そう言う事か……」


内側からふつふつと湧き上がるのは紛れもない怒り。





「シルバどうした」


矢を握ったまま肩を震わせる俺の様子を窺いに来たデューク。

訝しげな表情をして近づいてきたデュークだったが、俺の手に握られた矢を見て息を飲む。




「ッ…それは……」

「決まりだな」


驚愕したデュークに確信した。

恐らく、俺たちが考えていることは同じ。

俺たちは矢を見てエレナがどこに攫われたのか分かった。




矢と言えば矢羽の造りから矢じりの形まで様々で、それぞれ国によって特徴がある。

アークの矢羽は黒く、矢じりは細くて軽量。

だが、この矢の矢羽は茶色く、矢じりは重量感がある。





この矢を保持している国は……




「エレナを攫ったのはギルティスだ」


目的は見えないが、向かう先は決まった。






エレナは必ず取り戻す――――