その裏切り者が無防備となる禊の最中に手引きしたのだ。
しかし、分からないこともある。
一体誰が何の目的でエレナを攫ったかと言う事。
フォレストは国外追放し、反逆者どもも処分した。
組織はすでに潰れているようなもので、単身エレナを狙う様な度胸のある者はいないだろう。
ましてや、エレナは能力を失っている。
意図的に流したその噂はもう十分に広まっているはずだ。
だんだん冷静に働きだした頭でエレナを攫った者たちの犯人像を浮かべる。
…が、何の手がかりもなく突き詰めるのは難しい。
クソッ……
こうしている間にもエレナが遠く離れて行っていると思えば、苛立ちと焦りが胸に巣食う。
禊の儀式中に聞こえてきた声。
空耳かと思ったが、あれはやはりエレナの声だった。
あの時にすぐ駆けつけていたら……
否、あれがエレナの声だったことなど断定できないのだが。
それでも後悔が襲う。
頭は冷静に慣れたものの、犯人を突き止めるための手がかりもないことにじわじわと焦りが込み上げる。
何処に攫われたんだ……
眉間に皺を寄せながら、荒らされた禊の場を歩く。
すると、ふと地面に落とした視線が一瞬捉えたものに違和感を覚える。
その方向に視線をやれば、キラリと光るモノ。

