しかし、家臣に苛立ちの矛先を向けても何が変わるわけでもない。
そもそも禊の場には護衛は入ることを禁じられていた。
加えて城の敷地内と言うこともあって護衛も手薄だったはず。
一概には責められない現状があった。
「報告をしろ」
「は、はい!」
憤りを抑え込み、一言そう言えば家臣が一瞬驚いた顔をして答えた。
「エレナ様が攫われたのは禊の儀式中か儀式を終えた頃と思われます。エレナ様の護衛たちの帰りが遅いので私たちが様子を見に行きましたが、その時にはもうエレナ様のお姿はありませんでした」
目を伏せて悔しそうに唇を噛みしめる家臣。
「護衛も全てやられ、不意を突かれたとしか言いようがありません」
「どこのどいつか分からないが、計画的だったのは確かだろうな」
デュークも俺と同じ考えのようだ。
いくら侵入者と言えど、王宮の敷地内に大勢で詰めかけてばれないわけがない。
となると、エレナを襲った奴らは少人数。
そいつらがこの広い森でエレナの居場所を把握しつつ、護衛を一人残らず無力化できた理由は一つ。
内通者がいた――――

