白銀の女神 紅の王Ⅱ



その言葉が頭の中にスッと入ってきた瞬間、足は動いていた。



エレナのいるはずの東の森へ―――




「シルバッ!」


後ろでウィルの声がしたが、止まらない。

単身でしかも武装もせずに馬に乗って駆ける。




国王としての立場を忘れても。

式までは会うことができないと言うしきたりも。

全部忘れて、東の森へ向かって走り続けた。



東の森は大して遠くない。

城を挟んで向かい側にある森で、馬を走らせればものの数分で着く。

馬を走らせている間にも、胸のざわつきは治まらず焦燥感が募る。





そして、城の前をさしかかった時―――



「シルバ!」


式に出席するためにイースト地区から戻ってきたデュークが俺の名を呼ぶ。




「禊は終わったのか…ってオイッ!」


何も答えず、そのままの速度でデュークの目の前を通過すれば、非難の声が上がり、デュークは無視して通り過ぎた俺を追いかけてきた。