その言葉が頭の中にスッと入ってきた瞬間、足は動いていた。
エレナのいるはずの東の森へ―――
「シルバッ!」
後ろでウィルの声がしたが、止まらない。
単身でしかも武装もせずに馬に乗って駆ける。
国王としての立場を忘れても。
式までは会うことができないと言うしきたりも。
全部忘れて、東の森へ向かって走り続けた。
東の森は大して遠くない。
城を挟んで向かい側にある森で、馬を走らせればものの数分で着く。
馬を走らせている間にも、胸のざわつきは治まらず焦燥感が募る。
そして、城の前をさしかかった時―――
「シルバ!」
式に出席するためにイースト地区から戻ってきたデュークが俺の名を呼ぶ。
「禊は終わったのか…ってオイッ!」
何も答えず、そのままの速度でデュークの目の前を通過すれば、非難の声が上がり、デュークは無視して通り過ぎた俺を追いかけてきた。

