白銀の女神 紅の王Ⅱ



あまり自分の想いを言葉にしないエレナ。

人の心を読むと言う能力を持っていたがためにそうなったことは必至。

俺に対する想いでさえも抑えようとするエレナに、苛立ちや愛おしさや焦りを感じたのは言うまでもない。



けれど、何よりも強く心に思うのは“守りたい”ということ。



異端の者として忌み嫌う眼から。

嫉妬に狂う女たちから。

熱い視線を寄越す男たちから。

エレナが心から笑え、人に怯えずに過ごせるようにエレナを守る。





そこまで考えて、フッと自嘲的な笑みを零す。

否、俺はただエレナの全てを自分のものにしたいだけなのかもな。


幼い子供に親が教え聞かせる様に。

世間を知らないエレナに俺だけを見ろと教え込めば、従順なエレナの事だ。

きっと俺の言うがままにするだろう。



だが、欲しいのはエレナの心。

エレナに出会い、俺にも感情があるのだと感じた。

苛立ち、焦り、怒り、悲しみ、安堵し、笑い、愛おしく思う。

両親が死んでから、どこかに置き去ってきたそれらの感情をエレナは全て引き出す。

そんな自分に戸惑い、否定したが、否定すればするほど自分を苦しめ、愛おしさは増した。



しかし、エレナは俺に心は許してもどこか一線を引いているように思えた。

白銀の髪と瞳、人の心を読むと言う能力を持っていることを引け目に感じているのか、俺の隣に自分がいるのは相応しくないと言う。

ともすれば、ふとしたことで自分が引こうとする彼女を何度引き戻したことか。