「てことはもう能力が使えんだろ?俺たちの考えも皆お見通しってわけか」
弟の方が嫌そうな顔で私を見て、何から身を守っているつもりなのだろうか自分の腕で身を守る様にして抱きしめる。
そんなどこかずれた弟をじとっとした目で見るベロニカは溜息を吐きながら答える。
「それは大丈夫じゃないかしら。この姫様は人の心を読むことに抵抗があるみたいだし」
ベロニカの言葉にそうなのか?と警戒のまなざしから一転してパァっと表情を輝かせる弟。
「けどもったいねぇな。俺なら出し惜しみなんてしねぇのに」
「あんたがこの能力を持ってたとしても、使いこなせないだろうよ。どうせろくなことにしか使わないわ」
吐き捨てる様にそう言ったベロニカにも気にする様子もなく「そっかそれもそうだな」と言う弟はやっぱりどこかズレている。
そして、一人黙っていた兄が一歩踏み出す。
「能力が戻っていると言うなら話は早い。その力、ザイード様に捧げてもらうぞ」
そんなこと…嫌だ……
ザイードと言うのはギルティスの国王で、ギルティスはアークと敵対している。
シルバの敵であるザイードのもとへ行けば、私がアークを落とすために利用されるのは目に見えていた。
シルバの敵になんてなりたくない…
「嫌とは言わせないぞ。お前はもう俺たちと来るしかないんだ」
私の思考を読んだかのように笑う男。
一歩、また一歩と歩み寄る男にニーナと私は後ずさりする。

