「こいつの腕でも、この距離なら確実に当たる」
確かに、どんなに腕が悪くても僅か数メートルのこの距離を外すものなどそういないだろう。
「逃げようなんて気は起こすなよ。まぁ、こういう事態も計画通りだがな」
「え?」
驚いた声を上げた私に、男は満足げな笑みを浮かべる。
「俺たちが何故こうもすんなり城の敷地に近づけたか分かるか?」
そう言えば……何故?
森と言えど城の敷地内で護衛もいたはず。
禊のために護衛が少数だったと言えど、何故その網をかいくぐってこられたのか。
そして、何故ピンポイントでここに来れたのか。
その真実は愉しそうに笑う男が告げた。
衝撃的な言葉と共に――――
「俺たちはお前たちが何故この場にいたのか知り得たんだよ。姫が今どこで何をしているか、俺たちには筒抜けだったんだ。なぁ、ベロニカ?」
「「ッ……!」」
男が最後に告げた名に私とニーナが大きく息を飲んだ。
そして、バッと振りかれれば、そこには男と同じように冷たい笑みを浮かべるベロニカがいた。

