「ザイードって…どこかで…」
ポツリと呟いたのはニーナ。
ザイードの名に覚えがあるようで、考えを巡らせている様子。
そして次の瞬間――――
「ッ…!まさか…」
僅かに血の気がなくなったニーナが震える声で口を開く。
恐らく、ザイードがどのような人物であるか分かったのだろうニーナに気付いた兄の方が盛大に悪態をつく。
「チッ…お前のせいで気づかれたじゃねぇか!」
「ごめんよ、兄貴」
肩をすくめてビクついた弟に更に悪態をつく兄。
「まぁいい。俺たちがこの国に来た目的はそう言うことだ」
不機嫌に眉を寄せ、私たちを見据える男。
「と言うわけで、来てもらうぜ。ザイード様が統べる国“ギルティス”へ」
「ッ……ギルティス…」
その国の名を忘れるわけがない。
かつてフォレスト伯爵に攫われ、連れ去られそうになった国。
ニーナも自身の予感が当たっていたようで、警戒をより強めた。
ギルティスの国王が何故私を…
もう私の能力は失われていると言う噂が回っているはずなのに。
もしかして、能力が戻ったことを知っているの?
けど、戻ったのは昨日の事で、まだニーナにしか言っていないから知り得るはずがないわ。
恐怖と混乱で働かない頭をフル回転させながら考えをめぐらせていると…

