白銀の女神 紅の王Ⅱ




「終わりました」


ニーナの声にハッとして目を開く。

気づいた時には泉にいるのは私一人だけ。

ニーナとベロニカは階段の上で私を待っていた。





「泉からお上がりください。体をお拭きします」


ベロニカが膝を折って両手でタオルを持って待っている。

すっかり水を吸って重くなった服を引きずりながら階段を上がり、ニーナたちのもとへ行けば体に温かな布が巻きつけられた。





「これで全部終わり?」

「えぇ、後は式だけです」


頭にかぶせられたタオルで髪の毛を拭きながらニッコリと満面の笑みを浮かべるニーナ。




やっとシルバに会える……


いや、会えたと言うなら昨日会えているのだけど。

私の視界に映ったのは私を包み込む腕と大きな手だけ。

シルバも私の後ろ姿しか見ていないことになるけど、シルバは寂しいなんて感覚はなさそうだし。

私が大袈裟すぎるのかもしれない。




あの漆黒の艶やかな髪に触れたい。

激情の中にも温かな色を湛えた紅の瞳に見つめられたい。

大きくて広い胸の中に身を寄せたい。



なんでだろう…前は寂しさなんて慣れっこだったのに。

今はシルバが傍にいないと心にぽっかり穴が開いたみたいで。

寂しさや切なさや哀しさが一気に押し寄せてくるような感覚を味わうこともある。