「けど、どうして能力が戻ったんでしょう」
疑問の言葉を口にして頭を傾げるニーナ。
「分からない…けど、突然でもない気がするの。最近空耳が多かったでしょう?あれはきっと皆の心の声が聞こえていたからかもしれないと思って」
空耳だったと思っていた声は、実は直接頭に響いてきた声だったのではないかと今では思っている。
けれど、あの頃はドレスを選んでいた時に聞こえてきたニーナの言葉のようにハッキリ聞こえていたわけではないし…
うーん…と同じく頭を抱えていたニーナが「もしかしたら…」と口にする。
「能力が消えたのは精神的なショックによるものでしたから、エレナ様の心に安らぎがもたらされた事で回復したのかもしれませんね」
ニーナの言葉にハッと目を見開く。
そんな……でもそう考えるのが一番妥当かもしれない。
「シルバ様にはこのことは?」
罰の悪い顔をして首を横に振る。
「そうですよね。今日までの3日間お会いすることもなかったでしょうから」
昨日の密会を知るはずもないニーナは真剣な面持ちでそう言う。
少し申し訳ない気持ちに駆られながら、一人で抱えていた不安を零す。
「私…このまま結婚していいのかな……」
ポツリと小さな声で口にする。
「シルバに能力が戻ったことを言わないで結婚して、後からやっぱり結婚しなかった方がよかったって言われたら私…」
最悪の状況が頭に浮かび、胸が苦しいくらいにギュッと締め付けられた。
涙まで込み上げるなんて、私がよっぽどシルバに依存していることが分かる。
瞳が潤むのを耐えていれば、ニーナが私の手を握って持ち上げる。
必然的に視線も上がり、そこに有ったのは温かな笑顔。

