白銀の女神 紅の王Ⅱ




3日目の儀式は禊――――

王城の離れに在る小さな泉で執り行われるそれは、これから結婚する花嫁の身体を清めるための儀式。

そのため、ここから先はシルバはもちろんの事、護衛の人でさえ顔を合わせることは出来ない。




「本当に今日結婚するのよね」


感慨深い想いに駆られながら、窓の外の雲一つない青空を見上げる。




すると――――


「お心は晴れましたか?」


ニーナの声にハッとして振り返れば、そこには彼女らしくない笑顔。

眉尻を下げて笑うその笑顔はこちらを気遣うようなものだった。





「ずっと何かに悩んでおられるような表情をなさっていたので」


いつも元気で明るい笑顔に包まれたニーナにこんな顔をさせるなんて。





「心配かけてごめんなさい…私も戸惑っていて……けど、ニーナには話しておくわ」


そう言うと、ニーナはただコクンと頷いて控室から人払いを行った。

そして、控室には私とニーナの二人きりになった。





「驚かないで聞いてね」


シンと静まった部屋の中、ニーナと向き合う。

ニーナが緊張の面持ちで頷いたのを見て、ゆっくりと口を開く。



「私…能力が戻ったの……」

「ッ…いつからですか?」


驚かないで…と言うのは無理な話だったかもしれない。

それでも一瞬驚いた表情を見せただけで、次の瞬間には真剣な面持ちで私に問うニーナ。