それに―――――
シルバに告げるのは怖い……
フォレスト伯爵のようにまた誰かに目をつけられてシルバに迷惑をかけてしまうんじゃ…と思ったら怖い。
けど、能力が戻ったことを隠してこのまま結婚してしまうとシルバを騙しているようで…
式の後で告げるのは卑怯かな。
様々な想いが巡り、不安が胸を巣食う。
コン…コン…――――
控えめに扉が叩かれる音がしたかと思えば「エレナ様」と小さな声。
「城下へ行く準備が出来ました。シルバ様がお戻りになりましたのでもう行きませんと…」
こちらを気遣いながら声をかけてくれているニーナ。
もうそんな時間なのね…と思い顔を上げるとすでに時計の短針は1時を示していた。
「今行くわ」
重い腰を持ち上げ、足取り重く控室を出た。
国民への顔見せは思ったよりもすんなり終わり、拍子抜けした。
てっきり冷たい視線や罵声を浴びせられると思っていたのに。
一つもなかったかと言われれば嘘になるけど、子供の頃のように偏見を持った人は少ない。
城下で迎えてくれた人々は本当に温かくて、「おめでとうございます」の一言をもらった時は涙が溢れそうになった。
一番の理由は私の能力が消えたと言う噂が広まっていたからなのだろうけど、それでも私と言う存在をシルバの妃として認めてくれたことが嬉しかった。
だからこそ、能力が戻ったことを隠していることが苦しい…

