しかし―――――
「逃がしませんよ、エレナ様。結婚式までに綺麗な体を作り上げませんと」
「……いいのに」
妙に張り切るニーナにボソっと抵抗を示すが…
「何かおっしゃいましたか?」
「い、いいえ。お願いします」
時折見せるニーナのニッコリ笑顔に従うしかなかったのだ。
「私に任せてください!必ずやエレナ様の綺麗な花嫁姿をシルバ様にお披露目します!…けど、さすがに結婚式となると私だけではお世話できませんので、婚儀が終えるまで侍女をつけます」
入って…とニーナが言えば、後宮の扉がそっと開いた。
「最近王宮に召上った侍女のベロニカです」
「ベロニカと申します。婚儀までエレナ様のお世話をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」
腰を折って丁寧に挨拶をしたのはニーナと同じくらい、もしくは少し年上に見える少女だった。
「こちらこそよろしくお願いします、ベロニカさん」
最近王宮に来たと聞いて、一瞬私の容姿を見て驚きはしないかと思ったけど、事前に聞いていたのか終始表情は穏やかだった。
ニーナたちと談笑していると…
コンコン……――――
優しく扉を2回叩く音。
皆が扉の方へ目を向ければ何やら荷物を抱えた男が入ってくる。
青年と言うにはまだ若い、けれど幼くも見えないその人は…

