アーク王国の婚儀は清い体のまま受けるのが習わし。
もちろんそれは形式的なものであって、通常なら3日間の儀式の間だけ守ればいい。
だから婚儀の前夜…つまり今日みたいな日は3日間離れ離れの寂しさを埋める様に夜を過ごすらしい。
けど、ニーナがあんなことを言うから…
『純潔を守った夫婦は一生を添い遂げるそうですよ』
ニーナの言った言葉に確証はどこにもないのだけど、そんなジンクスが叶えば良いと思った。
シルバと離れたくない……
ずっと…一生……私の命が尽きるその時まで。
けれど、シルバにとってはジンクスなんてどうでもいい様子。
「3日後は例えお前が拒もうが、涙を流そうが止めてはやらないからな」
その言葉にかぁ…と顔を赤らめてコクンと頷いた。
するとシルバは私の応えに納得したのか、絡めていた指を解き、離れて行った。
「シルバ…どこ行くの…?」
私の上から離れるシルバの衣服を掴む。
「頭を冷やしてくる。先に寝ていろ」
明日から暫く会えないのに…と思いつつも先に拒んだのは私だったから、行かないでとは言えなかった。
するっと掴んでいた服を放し、離れていくシルバの背を見送った。
パタンと閉まった扉を寂しく思いながら丸くなる。
それから、ベッドの上でシルバの帰りを待ったけど、シルバはなかなか帰ってこなかった。
夢か現の狭間でうとうととしていた頃やっと部屋の扉が開けられたけど、もうその時には起き上がる気力もなく。
静かにベッドが軋み、私の体に回った腕にほっと安堵して眠りについた。

