白銀の女神 紅の王Ⅱ




この気持ちを口にしてしまって良いのだろうか。

この想いはシルバにとって重くないのだろうか。

一瞬そんな不安が頭に浮かんだが、私はキュッと結んだ口を小さく開いた。




「お願い…どこにもいかないで…」


シルバに届いたか怪しいほどの小さな声。

喉の奥に詰まったように上手く伝えられないのは、これが私の身勝手な想いだと分かっているから。

案の定何も言わないシルバにどっと後悔が押し寄せた。

シルバがどうとったか不安で顔を上げれば、シルバは紅の瞳を見開かせて固まっていた。




「あの…これは…その…3日と会わなかったら私の顔なんて忘れられちゃいそうで」


無理やりはりつけた笑顔で慌てて言葉を濁す自分に、心の中で悲しくなる。




私何を言っているんだろう…

こんな回りくどい言い方をして、自分で勝手に傷ついて。

こんな事じゃ余計にシルバが離れて行ってしまう…



そんなの嫌だ。




すぅ…と一息吸い込み、しっかりと眼を合わせる。





「この3日間で心変わりをしたなら言ってください。私に身寄りがなくて可哀想だという同情は要りません」


優しいシルバの事だから、もしこの婚儀が破談となって王城を出ていくことになったら、私の帰る場所がないことを気にしそう。

もちろんシルバが同情だけで結婚をする人だとは思えないけど…