「あの…シルバ様はエレナ様が不安になって距離を取ろうと言われるのが怖いのかな…と」
言い終わった瞬間、ギロッと紅の瞳が鋭くなったことに小さな悲鳴を上げるニーナ。
慌てて替えたシーツを取り上げ、深々と頭を下げる。
「すすすすみませんッ!シーツも変え終わったので私失礼します」
シルバが口を開く暇も与えずにニーナは後宮から出て行った。
残ったのはシルバの溜息。
「相変わらず騒がしい奴だ」
そう言いながら私が座るソファーに近づき、横に座る。
深々とソファーに体を預けて目を閉じるシルバは疲労の色が滲んでいた。
それが私たちの為だと言うことが分かっていたから何も言えなかったけど、日に日に酷くなっていくものだから遂に口にしてしまう。
「シルバ…今日もまたこんなに遅くまで?」
おずおずと口を開けば、目を閉じていたシルバがゆっくりと目を開け、体を起こす。
それを見て体を強張らせながらも対峙した。
怒られることは覚悟している。
シルバが帰りが遅いのは婚儀のためにやるべきことの調整をしているからであって。
頑張ってくれているシルバに対して、そのような言葉を投げかけるのはいけないと。