益々、理解出来ないとでも言いたげな顔をする。
「なんでオレを探すって言って、追いかけ回されたのかは知んないけど。オレに何か用でもあった?」
「それは……」
「はっ! まさか身体検査の続き……」
口元を押さえて、大げさな素振りで驚いてみせる先輩に、きちんと本来の目的を伝えた。
「違います! 先輩の噂話の事で話があって探してたんです!!」
「――――噂?」
ワケを言った途端、いきなり今までとは違う、トーンの低い声が返ってきた。
さっきまでのチャラけた雰囲気も無くなり、雑賀先輩の表情が瞬く間に変化したのがわかる。
もともとシャープで切れ長な目が、異様なくらい一層鋭く。
その変わりように体がスッと冷たくなるような感覚を味わった。

