問題の男子生徒は校則違反の金髪も、アクセサリー類の着用も、まるで気にしていないみたいで、悠然と校門を通り過ぎて、校舎を目指している。


私達、風紀委員なんてまるで目に入っていないみたい……。


身体検査をしているのにそれを受けようという気はさらさらないって感じ……。


しかも校門前にいた風紀委員達はみんな、彼を見て見ぬふりだ。
もう!! あんなに校則違反だらけなのにどうして?


私は他の風紀委員達のように見過ごす事は出来なくて、大声で彼の名前を呼んだ。



「雑賀(さいが)先輩!!」



先輩を呼び止めた事で、途端に回りの空気が変わったのがわかる。


風紀委員だけでなく、それ以外の生徒達もなんだか落ち着きなくざわついてる。


だって、呼び止めないと身体検査できないんだもん。


だからもう一度。


彼の背中を小走りで追いかけながら。