「遠藤!!」



後ろから突然、声を掛けられ、足を止める。


振り返ってみると、同じ風紀委員の牧先輩が難しい顔をしてこちらを見ていた。


どうやら今までの私と雑賀先輩のやり取りを見て、呆れているみたい。


深いため息をついて、牧先輩は言った。



「もう雑賀先輩はいいから、こっち戻れ」



先輩の強い口調で、さっきまでの騒ぎをよく思っていない事がわかる。


だけど今日は、逃げた先輩をそのままにしておくのが嫌で、牧先輩に食い下がろうと口を開く。



「で、でも……」



「あの人は今さら何を言っても無駄だ。早く来い!」



きつい語気と眼差しが、反論は許さないって言ってるみたいで、私はそれ以上何も言えなくなってしまった。



「……はぁい」



弱々しく返事をしながら、私は校舎に背を向け、身体検査が行われている校門前へ、渋々戻る事になった。


雑賀先輩のバカッ!!
絶対、このままじゃ終わらないから!?