サラリーマンのため息溢れる週明けの電車がホームに滑り込む。

見慣れた青と白のコントラスト。

同じ時間に毎日一本だけ走っている通勤快速電車だ。


鉄道好きにとっては堪らないらしいレアな塊に乗り込むと、密集度の高いドア付近を避けて一番奥にある大きな窓の側に立った。

そこが私の定位置。

流れる景色に見送られながら、今日も一日が始まった。





一駅着くごとに車内の密集度は増していくばかりで。

私が降りる駅まではほぼ誰も降りないような田舎道を走る鈍行から外に目をやると、田んぼの畦道に立って一生懸命にシャッターを切る人の姿が飛び込んでくる。


「あっつ、」


立ちながら寝てる人や爆音で音楽を聞いてる人、小説や教科書を読んでる人、携帯や鏡に夢中な人。

いろんな人がいる中で、クーラーなんて全く意味をなさないらしく。

窓際ならなおさら。

じりじりと肌が焼かれる感覚にみんながこの場所を避けている。


それでも私はここが好きで。

って言うのもここにいれば、ほら。


毎日あの人を見つけられる。