ざあざあと強い雨が降っていた。

ほんの1時間前まではまた明るかった窓の外、いつの間にこんなことになったのか。

梅雨の天気は全く気まぐれだ。

朝の予報では久しぶりの晴れだなんて言ってたくせに......。


「どーしよっかな、」


少し熱中しすぎてしまった。

手の中の小説を閉じながら吐いたため息は、無人の図書室に溶けていった。


この降り方はたぶん通り雨。

もうちょっと待ってれば止むとは思うんだけど。


「問題は時間ね」


閉門時間が迫っている。

追い出されるのは時間の問題だ。


窓はしっかり閉めているのに、どこかから忍び込んだ湿気が肌に当たって気持ち悪い。

もういっそ濡れて帰ろうかな。

そんなに遠いわけじゃないし、傘もないんだし仕方がない。


施錠をしっかり確認して、重たい足を職員室に向けた。