ガタンゴトン、

揺れる電車の窓の外は、少し前から知らない景色が流れていた。

1ミリたりとも動けない状況で、右肩にはズシリと重みが……。


「あのー、」


これで何駅目だろうか。

声を掛けでもピクリとも反応しないで、勝手に人の肩借りて寝入ってる彼を揺する。



始駅で乗って2つ目で降りるのが私の日課。

この人が乗ってきたのは私が降りる一駅前。

……なのに、なんでこうなった?


たった一駅でここまで眠れる人っているの?なんなの、ギャグとか?だとしたら最低だ。


「あのーっ、」


この電車がどこまで行くかなんて知らない。

この人がどこで降りるかなんて知るはずもない。


「……なんの罰ゲームよ」


ブレーキ音にかき消された独り言。……泣いてもいいかな。