「わぁぁぁ!!」
ぬくぬくと暖かい空気が部屋中を包み込む午前7時。
久々に休みが取れたとゆっくりベッドに体を預けていた俺の耳に飛び込んできた叫び声。
「......」
ぼやける視界。
ガチャーン――
「............」
サイドボードの上から手探りでめがねを取って音の方へ足を向けた。
「.....佳奈さん、」
「わっ、かずくん、起きちゃった?」
「うん、起きちゃった」
キッチンに立ち尽くしている背中にのしかかるように抱きついて彼女の視線を追うと、まぁ予想した通りの惨状が目に入った。
寝ている俺を気遣って朝早くから暖房をつけてくれている優しい奥さん。
少し、いや、かなりのドジっ子で手がかかる彼女は今日も朝から変わらず元気なようで。
「ね、眠かったから、コーヒーを飲もうと思ってね、それで、その、コップを取ったら、その、手が滑っちゃって、あの、」
「怪我は?どっか切った?」
「......だ、いじょうぶ、です」
「そう、よかった」
「ごめんね、かずくん、せっかくのお休みなのに」
「いいよー、おかげで佳奈を長い時間見てられるから。ほら、俺がするからリビングいってな」
犬が飼い主に怒られるみたいにシュンと悲しそうな顔して俺を見上げる佳奈が可愛くてかわいくて。
あぁー、重症だな。