『声、聞きたいと思って電話したら』


午前2時過ぎ。


『会いたくなった。今すぐ沙織に触らないと死にそう』

「真剣な声でセクハラ発言しないでよ」

『......違うし』


こんな時間に、電話がかかってくることは珍しかった。

私が寝てるかもしれないって気にして、我慢してくれてるんだよね。

知ってるよ、全部。


「私も会いたいよ、諒ちゃん」

『うん』


今すぐにでも飛んでいきたい、なんて子どもみたいなこと言わないけどさ。

顔だけでも見れたらどんなにいいかな。どんなに、幸せかな。


離れたから近づけたはずなのに......でもやっぱり、寂しいね。

そう言ったら君は笑うのかな。


「帰ってきたらいっぱいぎゅーってしてもらうから」

『なんだそれ』

「諒ちゃん不足で私も死んじゃいそうだよ」

『うん、いっぱい触ってあげる』

「だからなんかそれ変態っぽいよ」

『そぉかな、』


こうして笑っていられるのは、この距離のおかげなのかな。

少し恋しくなる方が、私達にはあってるのかもしれないって思うことにしとくよ。

でもあと1年もしたら手を伸ばせば届くくらい近くに、君がいてくれればいいなって、そう願うよ。





【愛 言葉】
(もう少しだけ待っててね)