『もしかして、もう寝てた?』

「んーん、起きてたよ」

『そっか、よかった』


もう何ヵ月会ってないだろう。


「外、寒くない?」


こんな頼りない電波でしか繋がることができない私達。


『寒い、けど、マフラー持ってきた。前に送ってくれたやつ』


だけど、離れてからどんどん近くなっていったように感じるのはなんでだろう。


『......沙織』

「ん?」

『さおり、』

「はーい」

『会いたい』

「っ......なに、急に」


いつも無気力な喋り方だから、注意してないと聞き逃してしまうほど小さな変化。

相当落ち込んでる声だった。


『沙織に、会いたい』


普段は絶対に言わないくせに。

ズルいよ、こんな時だけそんな風に言うなんて。