「俺だって、久しぶりに会えるの楽しみにしてたんだから、」


耳元で低く呟かれて、それがなんだか凄く愛しくて、くすぐったくて。

笑っちゃうよね、まったく。


「ごめんね、恭ちゃん」

「ほんとだよ」

「恭ちゃんも同じことしてたくせに」

「......知らない」

「えー」


やっと少しだけ離れた距離。

君が照れたように微笑うから、わたしもつられて笑った。

心がじんわり温かくなって、あぁ、好きだなーって感じ。


「なんだよ、」

「へへへっ」

「言っとくけど、怒ってないわけじゃないからな」

「......ねちっこい男の子は嫌われるんだぞー、」

「うるせーよ」


寝癖だらけのわたしの髪をぐしゃぐしゃに混ぜて、恭ちゃんはさっさとわたしの部屋に入っていった。

今さっきまでの可愛げはどこにぶっ飛んでいってしまったのか......。


「希里、」


手招きしてくるその顔は黒い笑みを浮かべていた。


「ど、どっか遊びに行くんじゃなかったんすか」

「予定変更」

「そんなっ!」

「寝坊した罰だろ」

「そ、そんなっ」

「あーもー、うるせー」




【休日の正しい過ごし方】
(ぎゃー!セクハラだ!)
(そろそろ黙ろうか)