「なり、帰るぞ」
「ん、んぅー......」
「なーりー」
「うーん、」
「うーん、じゃなくて!ほら、起きろっ」
強引に肩を引き起こして頭をぺしっと叩く。まだ眠そうに涙を溜めた瞳と視線が合ってため息を吐いた。
朱に染まった教室で、俺を待ってる間にぐっすり眠り込んでしまっている成を起こすのにはいつも苦労する。
無防備にくうくう寝息を立ててるのを見て、毎回こっちがどんだけ心配してるかも知らないでこいつは。
「んー、起きた起きた、」
「お前なぁ、いつも言ってるだろ。学校で、しかも1人でいるときに寝るなって」
「だって頼ちゃんがいっつも遅いんだもん」
「会議なんだからしかたねーだろ」
やりたくもない生徒会長なんか任されて、迷惑してんのは俺の方だ。
普通の仕事なら生徒会室に入れておけばいいけど、役員会なんかの時はそうもいかない。
先に帰ってろって言っても成は頑なに待つと言って聞かないし。
しかも暇さえあれば何処でだって寝てしまう無神経さ。
本当、勘弁してくれ。