「そんなこと分かんないじゃない」

「んじゃ、賭ける?一週間以内にお前とテツが付き合うか。負けた方が一週間昼飯奢りで」

「嫌だよ、あんためちゃくちゃ食べるじゃん」

「勝てばいいんだよ、勝てば。それとも自信ないわけ?」


……ず、ずるい。

こう言われて、負けず嫌いの私が断れるわけがないんだ。

それを知っててわざとこんな言い方するんだ、こいつは。


「私が勝ったらデザートも付けてよね」

「交渉成立。一週間後が楽しみだなー」


語尾にオンプでも付きそうなくらい言葉を弾ませて、このハゲはまた、視線をマンガに戻す。

私の出来る最大限の反抗は、その後頭部に向かって思いっきりため息を吐き出すことくらいだった。



【いつかの距離】
(くそハゲー!)
(……ガキかお前は)



end.