『秋山 翔、です。よろしく』


入学式の日、初めてのHRで、ぶっきらぼうに自己紹介する君に釘づけになった。


あの頃は今より大分、背も低くて、少し頼りない感じだった。

ぶっきらぼうで口下手で無表情なのは、今でも変わらないけど。





『川口?』


距離が近づいたのは、1年の夏休み。

夜も深くなった塾からの帰り道、何人かの男の子に絡まれた私を助けてくれたのが、翔くんだった。


『ありがとう』

『こんな時間に1人でなにやってんだよ』

『塾の帰りで、』

『……家、どっち?』

『え?』

『送る』

『……え?』