「卒業、おめでとう」

「翔くんも、おめでとう」


貰ったばかりの卒業証書、胸元に付けられたリボン、早咲きの桜、涙の声、歓声--。



卒業したんだ、私達。



じわじわと実感が湧いてくる。
涙はない。泣き方なんて、忘れてしまった。


「卒業、しちゃったんだな」

「ほんとにね。あっと言う間だったよ、この3年間」

「でも楽しかった」

「……うん、楽しかった」


こうして、翔くんの隣を歩くのも今日が最後。

明日からは別の道。

決して交わることのない、さよならの別れ道。