『ほんとに困った奴だな。何いってんだよ……』

『だって…いつか、離れる時が来て、俊樹がいなくなりそうで不安だよ…』

『今は俺も優の事、大切なんだから余計な心配はするな!』

抱きしめられたまま後ろを振り向き

『ほんとに、そう思ってるの??優の目を見て言ってよ!』

と彼を見つめた。

『……………』

『あ~目が泳いでる… やっぱり嘘なんじゃん…ひどいよぉ−』少しすねると…

『(笑) じゃ…本当だっていう証拠』

少しヒヤッとした彼の唇が重なると暖かい舌が優の中に入ってきた。

半年振りのキスはミントの味がした…

『あっ…ガム噛んでるの?』

『悪い…??』

『優にそのガムちょうだい』


もう一度、唇を重ねる。


『変態…俺のガムだから、誰にもあげないよ!』

『変態??ってひっど~い。キスしたんだから別に同じじゃん』

『やだよ−あげません。変態女さん』


『ふ−ん。俊樹くんは可哀相だね。変態女にしか好かれなくて…』

『あ−−−−俺はなんて不幸なんだぁー。こんな変態女にしか好かれないなんて』


『本当に、そう思ってんなら…このまま首絞めて、山に埋めてやる−−−』


『やめろ~~ぐるじい。その手を離せ。殺す気か−』

『反省したの?俊樹くん?』

『はいはい。わかりました。悪かったです。
 女王様…命だけは……お助けを』

『わかればいいの…!じゃ。明日仕事だし、帰ろッ…』


『ほんとに、切り替えが早い奴(笑)…帰るか…』

助手席に座り俊樹の腕にしがみついた。
『優、運転できないだろ…離して』

『少しぐらいいいでしょ……』
 
『危ないからだめ』

ふて腐れている優を見て微笑むと車を走らせた。

また少しだけ、二人の距離が縮まった気がした…。

恋人未満の関係も悪くないかなって少しだけ思えた一日だった。