夜中の住宅街にエンジン音が鳴り響いた… 

窓を開けると6月の風は冷たく最高の気持ちよさだった

『最近、いつも家でダラダラ過ごしてたから、たまにはドライブもいいな…』

『疲れてるのにゴメンね…』

『優と一緒なら疲れてても楽しいよ…』

と頭を『ポンッ」とたたかれた。

そんな素直な彼の言葉に恥ずかしくなり動揺を隠しきれずひたすら窓の外を眺めていた。

1時間程走っただろうか…… 山道を上がるとパノラマのような
美しい夜景が目に入って来た…

『うわ~っ。何度見ても、すごく綺麗…!』

『この前、来た時より綺麗だな』
少し笑いながら言う彼に

『少しあの辺の明かりが増えたのかもね』って返した。

車を降りると山の冷たい空気が肌に当たった。

『ちょっと、冷えるね。この前来た時は冬だったからもっと寒かったよね』

『そうだったな…』俊樹は後ろからギュッと抱きしめ身体を暖めてくれた。

『次に来た時は、お互いが大切な存在になってから、もう一度ここに来たいって思ってたの…』

『俺達、いまは、お互い大切な存在だろ?
お前の願いが叶ってよかったな…』


『うん……。でももし、俊樹と離れたら………
ここが、優の思い出の場所になるんだね。
淋しくなって一人でここに来ることも、いつかあるのかな……』