病院を少し出た後に後ろから聞こえてきた。 「酒井、あれ…」 声には反応しなかった私とは違い、先生は後ろを振り向き、止まった。 「何ですか?」 「あれ」 と指差す先には、さっきの男の子=弟。 「ちょっと、話したいんだけど、いい?」 息を整えて、こちらを見る。 息がつまる。 何を話していいのか分からない。 パッと先生を見る。 「行っておいで?車で待ってるから」