授業はあまり身が入らなかった。

頭にあるのは、日本史じゃなくて。

英語でもなくて。

クリスマスライブと彼女のこと。

一律に考えるのは、おかしな気がするが、どちらも難しい問題だ。

授業が終わると、思わず、机に突っ伏す。

2時間たっぷりと考えたのに、何も進まなかった。

やっぱ、ない頭をしぼっても意味はないんだろうか。

残念すぎるぞ俺の頭。

後悔しても、過ぎてしまった時間は取り戻せるものじゃなく、時はいつでも前に進む。

部室にキーボードを取りに行かなければならないことを思い出した。

つっても、あれ、超重いんだよ。

壊れて、右端の鍵盤が鳴らないくせに。

2年の教室は4階。

部室は、部室棟の2階。

部室棟に行くには、一回校舎を出る必要があって、これがまたメンドクサイんだ。

原則としては、外履きに履き替えなくちゃいけないし。

まぁ、規則を守るような真面目な人、よっさんくらいしかいないけど。

キーボードを一人で運ぶのは無理だ。

前、一回挑戦して、痛い目見たし。

だから、スケットを探すことにした。

とりあえず、その場で教室内を見渡す。

授業が終わったばかりで、皆各々に喋っていて、暇そうなやつばっかだ。

ほとんどの席が埋まっている中、彼女の席はもう空だった。

帰んの早いよ。

彼女の周りの席が全部埋まっているだけに、余計にそう感じる。

彼女の席の隣に、特に暇そうなやつを発見。

昼間、声をかけてくれた日野だ。

スポーツマンさながらの爽やかな出で立ちに、爽やかな笑顔がおまけつき。

声をかけると、とても快く引き受けてくれた。