尚人と同棲してから、
極力アタシは、
学校に行くようにした。

尚人との登校が、
すごく嬉しくて楽しかったし…

相変わらず、特別仲がいい友達が
出来たわけでも無いけど、
何となく学校に居るのが
心地よかった。



でもアタシは、
学校から直で家に帰ることが
出来ない。

尚人の客が家に来てるから…

それを見るのが、
辛いってのもあるし
尚人の営業の邪魔しちゃ悪いし…ね。

だからアタシは、
学校から下校する時は
決まって1人だった。




学校帰りに暇つぶしをするのは、
やっぱり駅前の噴水近く。

「4万でどう?」
そう買春を持ちかけてくるオジサンを相手に
アタシは体を売る。


同じ時間帯ぐらいに、
丁度尚人もアタシが知らない
何処かの女としているのだと思うと
胸に何かが突き刺さっているような
気分になった。


尚人の客は、1日に2人。

学校から帰ってからの、
5時~7時までの人。
7時~9時の人。
尚人は9時で終わるから、
アタシも9時で家に帰ってた。


玄関をソッと開けると、
女物のヒールの高いパンプスが
目に入った。



…まだ、居るんだ。


時計を見ると、9時30分。

いつもなら、尚人1人なのに…。



アタシの部屋は寝室と隣同士の為、
客が居るときは尚人の部屋に居ることにしている。


尚人もそれを望んでたし…ね。