…苦しい
心臓が痛い。
痛みと苦しみにもがいていると、誰かが私の手を握った。
あったかい。
安心するこのぬくもり。
私はうっすらと目を開いた。
「空菜!!」
思生が泣いている。
私の手をあの暖かい手が力強く握っている。
電話が鳴る音がした。
白衣の先生がケータイを手に取った。
「ドナーが見つかった!?」
大きな声に病室のみんなが先生の顔を見た。
━…ド…ナー?
私、助かるの?
「よしわかった。早く患者を手術室に運べ!!」
加奈さんがナースコールのボタンを押し、急いでたんかをとりに病室から出ていった。
だけどまた私の意識は遠退いていく。
痛い。
苦しい。
「空菜しっかりして!!死なないで!!」
思生の声が遠くから聞こえる。
大丈夫だよ。
お姉ちゃんはちょっと眠るだけだから。
ちゃんと一緒にいるよ。
一緒に学校にも行って、遊んで、ご飯食べて、いっぱい笑おうね。
でも…
ごめんね…
今はもう疲れちゃったから…
今は…寝かせて…