私…

今までこんな顔をしていたの?

そんな私を見て、私の頭に笑顔で話し掛けてくる加奈さんの顔が浮かんだ。

加奈さんは私を笑わせようと必死になっていた。

加奈さんはきっと、私に感情を取り戻してもらいたかったんだと思う。

ごめんなさい。加奈さん。

私のこと一生懸命考えてくれてたのに…

今さら気付いたって遅いけど、ごめんなさい。

でもね。

どんなに頑張ってくれても加奈さんじゃダメだったと思うんだ。

私の感情を取り戻せることができるのはきっと思生だけだったと思うの。

思生は、私の妹は、私が無くした私そのものだから。

思生は、私が見失っていたものを全て思い出させてくれた。

楽しい気持ちも、悲しい気持ちも、怒りたくなる気持ちも、人間らしい気持ち全部を思い出させてくれた。

だから今度は私が思生に思い出させてあげるんだ。

誰かが自分を大切に思ってくれるって言う幸せを。

あのね、きっと思生が目覚めたら、もっと大勢の人に幸せを思い出させてあげられると思うの。

思生は私のこのなにもない心に光をくれた。

ありがとう。

感謝してもしきれない。

私に思生みたいにうまくできるかわからないけど、やるだけのことはやってみたい。