ユダヤ・キリスト教伝承の『空』を司る天使『サハクィエル』の力。

『空』即ち『気象』を操る能力。

体力の消耗が激しい為に普段は使わないが、天眞は『サハクィエル』のDNAを持つ事で、天候操作という稀有な能力を獲得していた。

剣道場の残骸と共に遥か上空まで跳ね飛ばされた龍太郎は、そのまま錐揉み回転しながら地面へと落下し。

「大丈夫ですか、龍太郎」

ラエクスのアームチェンジのレスキューツールの一つ、転落救助ネットによって体を受け止められる。

「はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

天候操作の影響で激しく呼吸を乱す天眞。

しかしその表情は晴れやかだった。

これまでひた隠しにしていた能力を開放した事による爽快感。

その表情を見て満足したように。

「…すげぇな天眞…この学園は強ぇ奴ばっかりだ」

龍太郎は大の字になったまま、満足そうに笑った。