天眞は泣き笑いのような表情になる。

「軽く言ってくれちゃって…」

目の前の重度の馬鹿が、忌々しくさえ思える。

羨ましいくらいの単純明快。

その馬鹿さ加減に敬意を表して。

「見せてあげる」

構えを取る龍太郎の目の前で、天眞は軽く目を閉じた。

「?」

勝負を投げたのか。

訝しげな顔をする龍太郎。

と…。

「何だ?」

ミシミシと、剣道場全体が音を立て始めた。

台風の強い風によって揺らされているような、そんな家鳴りのような状態。

やがてその家鳴りは激しくなり。

「うおっ!?」

剣道場の屋根や壁が剥がされるほどの強烈な竜巻となって、ピンポイントで龍太郎を襲う!