天眞は知っている。

天真爛漫な迦楼羅の普段の姿はポーズである事。

神がかった超常的な能力の持ち主である事を。

そしてそんな迦楼羅に対し、龍太郎が頻繁に腕試しと称して人目につかない場所で勝負を挑んでは、こうして引っくり返っている事を。

「龍太郎いい加減にしときなよ。あんたは『普通の』人間なんだから。迦楼羅みたいな特別な人間に頻繁に突っかかっていると、良くない影響を受ける事もあるのよ?」

「おぅ、言うてやってくれヤテン」

迦楼羅が天眞に言う。

「……ヤテンって何」

「クミ『ヤテン』マじゃからヤテン!わらわが考えた愛称じゃ!」

両手を腰に当て、迦楼羅が鼻息荒く言う。

どういうネーミングセンスだろう。

「クミじゃなかったっけ?」

「あれは飽きたのじゃ!これからはヤテンで行くのじゃ!」

「あーそう…」