「反応あり」

突然ラエクスが言った。

彼に内蔵されたセンサー類が、龍太郎を捕捉したらしい。

身を乗り出して校門の方を見る遥達。

確かにそこに龍太郎はいた。

制服姿の龍太郎が立っていた。

しかし…。

「何です…?…彼は…?」

訝しげに穹が呟く。

あれは誰だろう。

…校門に立つ龍太郎は、そんな感想を抱かせるほどに別人に見えた。

外見がどうこうというのではない。

ただ、隙がなくもゆったりとした普段の龍太郎からは考えられない程に、その身に纏った気配が刺々しく尖り、鋭利な刃物のような殺気を放っていたのだ。

その体躯から漂う剣呑な雰囲気が、黒い霧のように目に見えて分かりそうなほどに…。