アタシは手を取ることもなくそのまま歩く。 「なんでそんなに不機嫌になるねん?」 「その言い伝えが気に入らへんから」 「はあ? なにわけわからんこと言うてんねん…」 アタシは不思議な顔をする彼をそのままに追い抜いて石段を上がる。 少しして背後から彼のくすくすと笑う声が聞こえる。 多分。 今、 きっと振り向いてしまうと。 アタシは その笑顔の虜になってしまう、 そんな気がして… 振り向けなかった。