「ねぇ、羽賀さん」



私の前に立つと、満原さんは、綺麗に笑う。




「私たち、今から友達ね!」





「……え?」







こんな風に言われたのが初めてだった。


真正面から、「友達」と言われることなんて。





「せっかく同じクラスなんだし、今日は良い機会だと思わない?ねぇ、千波?」



振り返って早川さんを見ると、早川さんは、クスッと小さな笑みを零す。




「剣ちゃん、今時『友達になろう』なんて言わないよ?」

「いいでしょ?私、気づいたら友達って云うのがよく分からないし」








「っはは」



思わず、私も笑っていた。



私も、こんな二人みたいになりたい。


なんだか、新鮮で。

私にとって、眩しすぎるくらい。







「私、鈴音って言うの。よろしくね」




目尻の涙を拭い、左手を伸ばす。





ぎゅっと握られた左手が、嬉しかった。