一瞬にして、壮紀の顔から笑みが消える。
当たり前だ。
だって、今壮紀が浮かべていたのは、作り笑いだからだ。
「鈴音?」
やっぱりと、予想していたように、剣が心配そうな顔をして覗き込む。
剣と千波には、心配をかけない。
だって、“トモダチ”なんだもん。
壮紀とは、保健室でのキスの瞬間から、“トモダチ”ではなくなった気がした。
気じゃない。
もう、友達じゃなくなってしまった。
「何でもない!1時間目って何?予習しなきゃダメかなー?」
悲しくなるぐらい、棒読みの言葉。
黙ったまま壮紀は席に戻り、私もそんな彼を横目に、剣と千波と架月に笑ってみせる。
自分のことは棚に上げて、壮紀にそんな言葉を言った私。
最低だ。


