「もう学校来ても平気？熱下がった？」



いつもみたいに、やたらと心配してくれる壮紀。

それをいつもみたいに、「鬱陶しい」と冷たい笑いを浮かべている剣と架月。

そんな２人の様子を、にこにこ……というよりも、ニヤニヤと笑いながら眺めている千波。





全部全部、いつも通り。


私だけが、ごちゃごちゃ悩んでいるだけみたい。






何でそんなに普通なの？




私の勝手な思い違いだって事は、分かっているつもり。

だけど、ついさっき感じた壮紀の気持ちは、思い違いじゃないはず。



なのに、何で？



何で壮紀は笑ってるの？





「自分はもう気にしていないから普通に接しようね」と、言っているの？

「この前のキスはもう忘れて」って事？






私も、いつも通りに「大丈夫」と笑って見せるのか。


そんなの、今は無理だ。





私の頭を支配していく、嫌な「私」の気持ち。

もう、限界。








「壮紀、よく笑っていられるね」