「ねぇ。聞いていい?」


帰り道に
彩夏が
真剣な顔で
話しかけてきた。


「何?」

「裕子、もしかして坂口君の事好き?」

「…えぇ?!」


あまりの事に
大声をあげた。


「な、何で突然?!」

「いやだって…。なんかよく話してるし…。」

「それだけで好きになったら、
彩夏なんてクラスの男子みんな好きになっちゃうじゃん!」

「だけど…。」

「違うよ!むしろ怖いって!もう何回も言わせないでよ。」

「…うん。まぁ、いいけど。」



怖いけど、
冷たいけど、



でも、



嫌いじゃない。


むしろ、
嫌われたくない。




この人に
嫌われたくないな、
とは思う。



でも
これって、

人間として
普通、
誰にでも
思う事だよね?



彩夏にも
嫌われたくない
って思う。


心底思う。



多分、
友達になりたいって
思ってるんだと思う。




…友達に
なれるといいな。





空を仰ぐ。




澄み切った青。



私のスカートを
乾いた風が

そっと
揺らしていった。