「だから、柚葉……」


心地好い声が、心をくすぐるように響く。


真っ直ぐで力強い瞳と、心を引き付ける真剣な表情。


それらに釘付けにされたあたしは、冬夜を見つめ返す事しか出来なかった。


「今度こそ、ちゃんと二人でこれからの事を考えよう」


優しく紡がれた言葉が、あたしの中の不安も苦しみも溶かしていく。


「で、でも……」


それでも、心の中に蔓延ったままの不安のせいで戸惑いを見せたあたしの唇に、冬夜はそっと人差し指を当てた。


「俺は、お前の“過去”に傷付けられたりしないよ」